千葉県八千代市にある男女共学私立高校の新教室棟の設計・監理プロジェクト。休み時間や放課後の生徒達の“居場所”の創出を目的に、安定した採光が望める北側に各種教室、居心地のよい南側に3層分の天井高を持つ大きなコモン“カフェトリウム”を配す構成とした。”カフェトリウム“は垂直方向に伸びる、精神性の高い空間であり、煙突効果を利用した自然換気によって、中庭で冷やされた心地よい風が吹き抜け、幕天井や煉瓦透かし積みのシェードを通して自然光を取り入れることで、空間全体が柔らかな拡散光で満たされる。これらの相乗効果によって、サスティナブルな建築を実現。また、ウッドデッキテラスやウッドデッキバルコニー、ベンチコーナーなど、様々な“ミニコモン”を散りばめることで、生徒それぞれがどこかにお気に入りの“居場所”を見つけられるような仕掛けを施した。
● 関連トピックス
→2012.12.25 千葉英和高等学校 多目的教室棟が竣工しました。:その3
→2012.10.22 千葉英和高等学校 多目的教室棟が竣工しました。:その2
→2012.08.20 千葉英和高等学校 多目的教室棟が竣工しました。:その1
→2011.06.06 千葉英和高等学校 多目的教室棟が着工しました。
→2010.02.01 千葉英和高等学校 多目的教室棟の設計がスタートしました。
→2009.07.09 千葉英和高等学校 講堂の耐震、設備改修工事が竣工しました。
東京医科歯科大学は、1946年に設置された医療系国立大学である。
敷地内には、多くの高層棟が密集して配置され、いくつかの新築・改築工事が同時並行で進められている。今回、既存の事務室の壁を取り払い、180人定員の講義室(階段教室)に改修することになった。
この新しい講義室の特徴は、通常授業とチームラーニングの2通りに使われることにある。
チームラーニングは、従来の教員主導の伝統的な教育形態から、学生主導のチーム学習に移行することによって、調整する力・共感する力・複数人で表現する力など、現代において必要とされる協働に伴う能力を実感しながら、時間を掛けて育ててゆくことを目的としている。
具体的には、机を多角形状にレイアウトし、椅子を回転させて前後2列の学生が向かい合うことで、1チーム7人の27チームが構成できるように計画した。
この新しい講義室が、大学のミッションである<知と癒しの匠を創造する>ことの一助となることを願っている。
● 関連トピックス
1987年に図書館、および大体育館・小体育館・剣道場の設計監理を行って以来、特別教室棟新築計画やメンテナンス計画の提案などを通して、付き合いが続いてきた高校のマスタープラン作成。まず、1981年竣工の講堂(設計監理:桑田建築設計事務所)の改修工事デザイン・マネージメントを行う。27年経過した建物の現状調査、改修工事箇所の選定、改修方法の提案、概算コストの算出などを行う。
また、新教室棟の増築を含め、学校全体のマスタープランを作成。これにより、学校のあるべき将来像を見据えながら、それをどの段階計画で、より効率的に、適切な事業費で進めることができるかが明示できると考えている。
本町小学校発足以来、教職員の研究と実践の成果として確立された「フロア-指導体制」を増築計画に継承してゆくことを第一に考え、既存校舎2・3階のクラスルームと学習センターが同レベルで増築棟のクラスルームに繋がる空間構成を採用。建物全体をコンパクトに纏めることで、グラウンドへの影響を最小限に押さえることとした。
また、図書室を4階に新設。これまで各学年ばらばらに保管されていた図書類を集約し、子供達が積極的に本に親しむことのできる広々とした閲覧スペースを設けた。
既存校舎はあくまでもワンルーム形式であることに特徴があったが、今回計画においては少し閉じられた、少人数で集まれるスペースを随所に散りばめることにより、ワンルームの持つオープンな雰囲気と補完し合うことを目指した。
教員・学生の起業意識の醸成と起業支援体制の強化を図るため設置された研究棟。
学生、教職員が最も多く利用する西門直近に配置された建物は、多くの学生たちが利用するだけでなく、大学の社会へのオープン化において重要な役割も果たすことを意図し、五十嵐キャンパスのシンボルとして位置付けた。
このような施設に与えられた役割、特に地域企業との連携に配慮し、モールに対してオープンなイメージを大切にし、大学研究者、大学院生、民間研究者がともに語り合うことのできる小さな「広場」となるようなウッドデッキスペースを建物本体とモールとの間に内包させた。既設の総合研究棟とは異なる、独自性を持ったデザインでありながら、共通の要素をも併せ持った形態とし、モールの景観に一体感を持たせている。
機能性・安全性は元より「全体は天使の羽に柔らかく包みこまれ、何より子どもたちが自然の営みを常に体感できるような幼稚園を」という要望と、駅前再開発による街の活性化が期待される周辺環境の中で、地域コミュニティの核として機能することを目指した幼稚園。
建物は多目的ホールを中心とし、保育室・トイレ、職員等管理部門を東西に配置。スクエアな各室を包むように曲面壁で全体を覆い、この2枚の壁の間をバルコニーとしている。多目的ホールと風除室との境壁にはバラ窓を設けることでホールに象徴性を持たせ、ハイサイドライトが連続する門型の構造体をなめてホールに落ちる。
基準色は淡いピンクで統一し、4色に系統分けした各保育室には、木の温もりを感じさせるサインと家具、そして子どもたちの絵が彩りを与えている。
学生寮の醍醐味である濃密なコミュニティを、より積極的に多様化するための仕掛けとして、ミニコモンとL型ユニットを提案した。2層吹抜けのミニコモンの周りに20前後の最小限の大きさを持つ個室群が集まり、L型ユニットを構成、さらにそのユニットが10個集積して中庭を囲むことで、より大きな外部コモンを獲得している。中庭の周りのミニコモンは透過性を持ち、互いを見合うことができ、刺激しあい、異なる個性を発揮しつつある。
敷地は特別養護老人ホームや幼稚園、低層住宅などが密集する地域にあるため、学生が集う共用スペースを内側に囲い込む配置計画は、周辺環境への配慮の点でも有利に働いている。また構造にはプレキャスト・プレストレストコンクリート圧着工法を採用し、建設時の振動・騒音・粉塵対策を図った。主要構成部厚を200mmで統一したシンプルな形態の集積体であるが、個性豊かな表情を見せる学生寮となった。
自然科学の全分野に対し5年にわたる大学院教育研究を行なう区分制博士課程の総合型大学院。
最も多く利用される西門直近に位置する敷地は、多くの学生利用だけでなく、大学の社会へのオープン化において重要な役割も果たすため、五十嵐キャンパスのシンボルとして位置づける必要があった。そこで、隣接する物質・生産棟との間にモールを設け、その動線を西門からキャンパス各部へ導く重要な空間として捉えることで、キャンパス全体の活性化を目指した。
学部間の垣根を取り払うことで独創的な研究を推進するこの新学科にふさわしく、研究棟には異分野間の交流・情報交換を促すために実験・研究室のほかに談話室などを積極的に設けている。各々の実験・研究室は非常に特殊性が高く、実験室に求められる環境の違いも大きいため、設備構造面での工夫が求められた。